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システムはリリース後の継続的な改善や運用保守も大切

この記事で理解できること

本記事では、システムが安定稼働し運用保守のフェーズに入っている中で、運用保守を担うシステム開発会社ではなく、システムを使う側の企業や組織が主体的に検討したいことやポイントについて解説します。

システムは、システムを導入するまでの要件定義や開発の期間よりも、システムを利用している期間の方が長くなっています。システムを安定稼働できるか、システムの導入によって当初達成したいと考えていた目的が達成されているか、システムを積極的に活用して業務が行われているか、ということが重要となります。

参考資料:「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック 第8章 サービス・業務の運営と改善 第9章 運用及び保守

システム発注プロセスの中での位置づけ

本記事では、システム発注プロセスにおいて、「⑦運用保守・活用促進」を解説します。

 

システムが使えるのは運用保守のおかげ

日々、業務の中でシステムが問題なく利用できるのは、運用保守をシステム開発会社が担っているためです。

よく「運用保守」とまとめて言われることが多いですが、システムにおける「運用」「保守」について解説していきます。

 

「運用」と「保守」の違い

「運用」とは、システムを通じた業務を滞りなく実施できるように、「システムの機能を利用者に提供し続けるための活動」です。例えば、ヘルプデスクやコールセンターで利用者の問い合わせに対応するサポート業務、システムの異常を即座に検知するための監視作業などがあります。

「保守」とは、「システムが(インフラを含む)が予定された機能・レベルを提供するように、システムそのものを維持するためにシステムに対して働きかける活動」です。例えば、定期点検、ファームウェアのアップデート、不具合に対する原因調査やプログラムの修正・テストなどがあります。

「システムそのものに手を入れるかどうか」が、「運用」と「保守」の違いです。

 

運用保守業務の委託

運用保守の業務は、システム導入/刷新時と同じシステム開発会社へ委託することが一般的です。

スクラッチ開発で構築されたシステムは、安定稼働した後に運用を専門的に担う会社に委託することや、社内の複数のシステムの運用業務を統合して同じ会社に委託することもあります。

ただし、パッケージ導入の場合は、そのパッケージを持つシステム開発会社が運用保守を継続して提供します。

運用保守業務を発注する際にも、どのような業務を発注するのかについては、発注者側自身が内容を十分に検討する必要があります。基本的には、要件定義フェーズで検討している内容が要件になりますが、システムの稼働状況や運用保守会社からの作業の報告内容に応じて、運用保守契約を適宜見直しましょう。

 

「運用保守」と「業務改善」の関係性

また、運用業務の中でシステムから各種データを取得し、業務改善に活かしていくことも重要です。

 

上記は、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック 第9章 運用及び保守」に記載されている、「運用及び保守活動と他の活動との関係(図9-1)」から引用した画像です。

図からもわかる通り、システムの設計・開発の運用保守に入った後は単にシステムを安定稼働させるための運用保守をするだけではなく、運用の中で得られたデータを共有して、業務の改善やシステムの改善に活かしていくことが重要です。

業務改善については、次の章で解説していきます。

 

システムの活用促進・継続的な業務改善を行う

新システムによる新業務が開始した後は、できるかぎり早く新業務を現場に定着させて業務の効率化や、システム導入による目的の達成を目指すことが大切です。

運用保守はシステム開発会社に担ってもらう業務ですが、システムをうまく活用して業務の改善を進めていくことは、発注者側である自社自身で推進していくことが必要となります。

 

システムの利用を定着させる

新システムを利用した新業務を定着させるためには、業務マニュアルや操作マニュアル、それらをまとめた研修用の資料などを準備しましょう。

また、システムの利用者である業務担当者から、よくでてくる質問があればマニュアルに反映させるなど、定期的な見直しや改善も実施します。

 

継続的な業務改善を行う

組織や事業などの環境の変化による影響を受けて、その時々の業務やシステムが、新システムの設計や運用当初と少しずつずれてくることが考えられます。

そのため、システムは稼働したら終わりではなく、継続して業務もシステムも見直しをして改善をしていく必要があります。

また、どれくらい業務が効率化されているか、生産性が向上しているのかなどをKPIとして設定し、定期的に数値を取得して改善状況をモニタリングしていくことが必要です。

その際に、数値を取得するために大きな労力が発生してしまうと、業務改善のサイクルを高速でまわすことが難しくなってしまいます。そのため、要件定義の中で、モニタリングするための数値やデータが容易に取得できるような機能を盛り込んでおくとよいでしょう。また、システムの利用者が使える機能として盛り込むことが難しい場合は、運用業務の中で情報を取得できるよう、相談をすることをお勧めします。

 

業務とシステムは表裏一体

本記事では、システム導入後にどのように定着させるか、運用保守と業務改善をどのように連携させるか、について紹介しました。

業務とシステムは表裏一体で動いています。そのため、業務やシステムは互いに制約を受けることも多いですが、業務担当者やシステム担当者がそれぞれ歩み寄り、業務やシステムを通じて最終的な会社の事業やサービスへ価値を発揮していけることが理想的な業務・システム運営につながるでしょう。

 


 

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この記事の編集者

GPTech編集者

GPTech編集者

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 ITコンサルティング業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するというメディア運営業務にも携わる。

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