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「2025年の崖」とは?問題視されているレガシーシステムについて分かりやすく解説!

本記事では、一般社団法人日本情報システム・ユーザ協会(以下、JUAS)の「企業IT動向調査報告書」をベースに「2025年の崖」問題の現状について説明します。

「2025年の崖」とは、企業が老朽化した情報システムを放置することにより、2025年頃に生じるとされる問題で、事業活動の維持・存続に影響が出る可能性が指摘されています。

「DX」が注目されるなか、DXとセットで語られることの多い「2025年の崖」について耳にしたことはあるものの、きちんと理解できていない方も多いのではないでしょうか?

IT部門の担当者はもちろん、ITが専門でない方にも理解をしていただけるよう、わかりやすく「2025年の崖」問題について解説していますので、興味・関心のある方は是非読んでみてください。

1. はじめに

冒頭でも述べた通り、本記事は「2025年の崖」問題について、JUASの「企業IT動向調査報告書」を用いて説明します。

1994年以降、JUASは毎年「企業IT動向調査報告書」を公開していますが、最大の特徴はアンケート対象企業数および業種の幅広さにあります。
具体的には、2022年版の報告書では27業種4,499社を対象としてアンケート調査を実施しています(※)。

その調査結果に対する信頼性から、多くの省庁レポートや民間レポートでもJUASのレポートは引用されています。
例えば、2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」も、その主張の多くをJUASのレポートに準拠(「企業IT動向調査報告書」の他、同じくJUASの「デジタル化に対する意識調査」等も活用)しています。

本記事でも、「2025年の崖」問題の正確な現状把握のため、JUASの「企業IT動向調査報告書2022」を用いて解説します。

※詳細な調査方法やアンケート情報については、JUASのホームページをご参照ください。https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/

 

2. 「2025年の崖」の課題と現状

2.1 「2025年の崖」とは

「2025年の崖」とは、企業が複雑化・老朽化したレガシーシステムに依存したままでは、企業の競争力が低下、ひいては日本経済が低迷してしまうことを懸念した言葉です。

経済産業省が公表した「DXレポート」によれば、この課題を放置した場合は最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる恐れがあると警鐘を鳴らしています。

要となる概念は「レガシーシステム」です。

レガシーシステムとは、「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム」(DXレポートによる定義)です。

より具体的には、メインフレームのような旧来の技術基盤で構築されているシステム(技術面の老朽化)や、度重なる改修などによって誰もシステムの全容を把握できていないシステム(ブラックボックス化)等を指します。

このようなシステムは経営や事業変化への柔軟な対応・メンテナンスが難しく、運用コストばかりが高くつく「技術的負債」となる傾向にあります。
お読みいただいている皆さまの身の回りにも、運用コストの増加や作業の非効率性等の問題は感じながらも、「業務を止められない」といった理由で使い続けているシステムはないでしょうか?

 

2-2. 「2025年の崖」に向けた各企業の現状

レガシーシステムへの対応状況

「2025年の崖」の警鐘が鳴らされたのは、2018年の「DXレポート」でした。
その後数年が経過しましたが、図1によれば「2025年の崖」を引き起こすレガシーシステムは、いまだ多くの企業で残存している状態です。

「半分程度がレガシーシステムである」、「ほとんどがレガシーシステムである」を合計した割合は、基幹システム(取引システムなど)で約40%を占めており、次いで、業務支援・情報系システム(顧客管理システムなど)が約30%を占めます。

図1 システム種別ごとのレガシーシステムの対応状況

 

レガシーシステム刷新の阻害要因

政府が旗を振ってもレガシーシステムの刷新が進まない要因は何でしょうか?

下の図2によれば、システムそのものに最も課題がある(「複雑化したシステム」の回答が約60%)ものの、予算・要員などのリソースや経営者や利用者など関係者の理解獲得といった、システムや技術以外の点に難しさがある状態となっています。

図2 レガシーシステム刷新の阻害要因

図1, 2を見て、「この数年間でレガシーシステムの刷新は大して進んでいないのではないか」と感じられるかもしれませんが、同報告書には以下の記述があります。

2017年の調査でレガシーシステム脱却・更新のために必要な施策は、「経営者の理解と承認」が60%超でトップであった。調査の仕方に違いはあるが、本調査で「経営者の理解」が課題と回答した割合が 23.4%であったことと比べると、レガシーシステム脱却への理解はこの5年の間に浸透したとみられる。

JUAS 企業IT動向調査2022

確かに道半ばの状態ではありますが、着実に改善傾向にあると考えられるのではないでしょうか。

 

レガシーシステム刷新のメリット

また、レガシーシステムの刷新は工数およびコストのかかるネガティブな側面が注目されがちですが、レガシーシステムの刷新によるメリットは小さくありません。

レガシーシステム脱却を行った効果について、図3のアンケート回答があります。それによれば、業務効率化やデータ連携のしやすさ、事業変化への柔軟な追随など、主に業務面においてメリットが生じていると言えます。

図3 レガシーシステム刷新のメリット

3. レガシーシステムの問題に本質的に対処する

「2025年の崖」の対応状況として、JUAS「企業IT動向調査報告書」のレガシーシステム刷新状況を説明してきました。全体としてまだ道半ばの状態ではありますが、着実に改善傾向にあると考えます。

ただし、レガシーシステムの刷新は1度実施すれば完了というわけではありません。

そもそも、レガシーシステムのブラックボックス化は、情報システムの適切なマネジメント不足が招いた結果です。つまり、レガシーシステムの刷新と並行して、マネジメント体制の強化も行わなければ、再レガシー化する恐れがあるのです。

図4 レガシーシステム刷新とマネジメントの問題

GPTechは「この国のシステム発注の常識を変える」ことを理念に掲げ、協調型アウトソーシングサービスを提供しているITコンサル会社です。自社内に開発部隊をもたず、システム開発会社とも中立的というビジネスモデルを確立しています。

上述したとおり、レガシーシステムの刷新自体はクライアント企業(発注者側)にとってはスタートでしかないと認識しているため、発注者側のケイパビリティ向上、マネジメント体制強化を重要視しながらコンサルティング業務を行っています。

レガシーシステムの刷新に向けて、そもそもシステム刷新の進め方が分からないという方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。

 

GPTechはシステム刷新や体制づくりに悩む企業と伴走しながら、日本企業のDX推進を加速させていきたいと考えています。

レガシーシステムの刷新だけではなく、システム発注者としてのケイパビリティ向上、マネジメント体制強化など、お悩みの点があればぜひGPTechまでご相談ください。

 

この記事の編集者

関 孝善

関 孝善

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 同社のシステム発注側に立って支援するITコンサルティング業務で得られた経験から、システム発注に関わる人々の役に立つ記事を執筆する。

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