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BPRとは?BPRの基本的な流れやDXとの関係、自治体におけるBPRのポイントまでわかりやすく解説!

現在自治体で進められている自治体情報システム標準化等のDX施策において、重要なカギを握るのがBPRです。自治体でBPRを進めたいけれどもどこから手を付ければ良いかわからない、とお悩みではないでしょうか。本記事では、BPRとは何か、その基本的な進め方などに加え、自治体においてBPRを実施する際の課題やポイントについて、解説します。

1.BPRとは

BPRとは、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)の略で、現在の組織や業務のプロセス全体を根本から見直して分析し、最適な形に再設計することです。
「業務改革」と表現されることもあり、手順の一部の無駄を排除するなどの部分的な業務改善ではなく、「全体的」「根本的」であることがポイントとなります。

 

1-1.DXとBPRの関係

DXがデジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を示すのに対し、BPRは業務プロセスの改革を指しています。DXの推進には新たなデジタル技術を活用することが不可欠ですが、そのためには、その新たな技術の活用を前提とした業務プロセスを構築することが必要です。これまでの業務プロセスをそのままにして新しいシステムやサービスを導入しても、効率化に繋がらないばかりか余計なコストがかかってしまう事態になりかねないからです。また、DXの推進には組織構造や組織風土の変革も不可欠です。BPRを行うことでそこに向かう姿勢や体制を作り上げることにも繋がります。
つまり、DXを進める上でBPRは避けて通れないことであり、BPRはDX推進の要であると言えます。

 

1-2.BPRの流れ

実際にBPRを進めるための基本的な考え方や、検討のステップについて解説します。
BPRの対象として組織全体を見渡した時、確認すべき点は、「業務量」と「生産性」の2点です。これらを把握することでBPR対象とする業務範囲について検討を進めることができます。
対象とする業務範囲を決定したら、現在の業務プロセスそのものを分析して課題を確認し、業務量削減のための業務の廃止や統合、簡素化、さらに生産性向上のための自動化や集約、標準化を図ることができないか等、新たな業務プロセスを具体化していきます。またその際、現状の課題からBPRの目的(目指す姿)を明確に設定することも重要です。
ここまでは検討のフェーズであり、この後は実際にBPRを実行するというフェーズになります。

BPRの検討ステップについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

 

1-3.実行の手順と成功のポイント

検討してきたBPRを実行に移す際、考慮すべき点は「効果」と「難易度」です。効果とは業務量の削減や生産性の向上といった、BPR検討の元となった課題解決への影響力と考えられます。また、難易度は実行にかかる時間やコスト、法令や技術的な制限の他、対象業務関係者のモチベーションやスキルにも影響されます。
効果が高く難易度の低い業務を優先的にBPR実行し、効果も難易度も高い業務については、その実行にかかる時間やコスト、労力等と効果を比較し、実行するかどうかを関係者間で協議する必要があります。
実行の優先度から対象業務を決定したら、これまでに検討してきたBPR実行の目的・スケジュール・具体的なアクションプランと達成目標等について明文化し、関係者に共有しましょう。この目的等の共有は非常に重要なステップで、ここを怠るとその後のアクションに影響が出ます。
BPRを成功に導くには、組織全体でその目的や目指す姿を共有し、そのために必要なアクションプランを確実に実行していくことが重要なのです。

BPR取組の優先度について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

 

2.自治体DXにおけるBPR

総務省は「自治体DX全体手順書」(以下「全体手順書」という。)において、「業務内容や業務プロセス、さらには組織体制を含めて抜本的に見直し、再構築するいわゆる BPR の取組が、DX の成果を決定づける」と明記しています。また、従来自治体におけるBPRは、法令等により規制される部分が大きいことから業務改善に留まりがちでしたが、前出の全体手順書では、BPR の取組を進めるに当たって法令や国の制度の見直しが必要と考えられる場合には、国に対して自治体への事務・権限の移譲や地方に対する規制緩和を求めることが可能と示しており、制度改正も含めたBPRの実施が後押しされています。
自治体におけるBPRも、基本的にはこれまでに述べた一般的なBPRと同様の考え方や流れで行います。
昨今自治体で多く行われている「業務量調査」では、負荷の高い業務の洗い出しや、職員でなければできない業務(コア業務)と職員でなくとも可能な業務(ノンコア業務)の抽出を行っており、それを元にBPR対象とする業務範囲、改善施策を検討している状況が多く見られます。
自治体におけるBPRは、自治体情報システム標準化や行政手続きのオンライン化など、自治体DX施策の実行にあたって、業務の効率化と市民の利便性向上の視点で業務プロセスを再構築するものが主になっています。

 

2-1.自治体BPRの課題

自治体がBPRを検討する際、最も大きな課題となるのは業務の可視化がされていないことです。各部署における業務については法令や規則によって規定されていますが、各職員の担当業務について、業務フローやマニュアルが整備されていることはほとんどありません。そのため、前述のような業務量調査や業務ヒアリング等を実施する必要があり、検討準備段階の時間とコストが大きくなります。
また、BPRには組織全体の体制や風土の変革も重要ですが、縦割りの根強い自治体組織においては、その変革そのものや、前段としてBPRに取り組むための意識改革を浸透させることは非常に困難です。さらに、その組織構造により、各業務の部分最適を追求してきた結果として現在の業務が成り立っており、その変化に対しての抵抗感は大きなものになります。
その他にも、あるべき姿を実現した時に想定される組織のあり方、人材育成方針等を検討すると、これまでの自治体のあり方そのものを大きく変える必要があり、こういった課題から、自治体におけるBPRは難易度の大変高いものとなります。

 

2-2.自治体BPRのポイント

多くの課題がある中、自治体がBPRを推進するために重要なポイントとは何でしょうか。
それは現在既に多くの自治体が取り組まれているように、コア業務とノンコア業務をしっかりと把握し、労働力の不足する将来の自治体のあるべき姿を描くことだと考えています。市民が役所へ足を運ばずとも、いつでもどこでも行政サービスを受けることができ、職員は政策立案や福祉サービス等の本来注力すべき業務に注力できる環境が理想でしょう。その目的を組織全体が共有し、これまでのような「部分最適」ではなく「全体最適」の視点でBPRに取り組むことができるかどうかが重要です。
また、BPRの必要性は認識し組織内でも共有できているが、どこから検討すれば良いかわからないという場合には、システム更改に合わせ既存のパッケージシステムやサービスを活用することも有効だと考えます。既存のパッケージシステムやサービスは、既に一般化された業務フローを実現することが可能ですので、それに合わせて必要な業務改革を行うことでも、簡素化や標準化を図ることができます。
そして、新たな業務プロセスの構築にあたっては、業務の根拠等も併せ、本質的な必要性を元に最適な業務プロセスを検討することが重要です。自治体において「根本的」に業務を見直すということは、国の示す姿勢にも表れているように、根拠法令/規則や制度の見直しも併せて検討するということを示しています。
このように簡素化・標準化、ルールの再整備等で業務の最適化が進むと、AI/RPAなどのデジタル技術をスムーズに導入できるようになり、業務の自動化・システム化が進むことによって、更にBPRが進むという好循環が生まれます。

 

3.まとめ

一般的なBPRの概念を踏まえた上で、自治体におけるBPRの現状や課題、推進のポイント等について解説しました。自治体DXの推進において、BPRが切り離せないものであることがお分かり頂けたでしょうか。
自治体におけるBPRの実行は簡単なことではありませんが、市民も職員も幸せな将来の姿を描き、そこに向かうための手段として組織一丸となって今取り組むことが必要なのではないでしょうか。
GPTechでは、IT調達支援サービスと併せてBPRの支援も行っています。外部の力を活用することで業務改善を進めやすくなるということもありますので、ご相談をご希望の自治体職員の皆さま、お気軽にお問合せください。

 

この記事の編集者

下里 朋子

下里 朋子

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに中途入社。ITコンサルティング業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するメディア運営業務にも携わる。

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