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RFI(情報提供依頼書)とは?目的やメリット、RFPとの違いを分かりやすく解説!(目次サンプルあり)

1.RFIとは?

RFIはRequest For Informationの略で、日本語では「情報提供依頼」または「情報提供依頼書」と訳されます。 候補となりそうなシステム開発会社に対して、技術情報や製品情報の提供を依頼するための文書 のことを指します。本記事では「情報提供依頼」の実施要否や、実施する場合「情報提供依頼書」をどのように作成するのか、について解説します。

1-1 RFIの目的

RFIはその名のとおり、情報の提供を依頼すること、また、そのために作成される文書そのものを指します。情報システムの発注の際、候補となりそうな会社に対しWebサイトやカタログには記載されていない技術情報や製品情報、企業情報を得ることを目的に実施されます。

1-2 誰がどこにどのような内容を依頼するのか?

RFIはシステムの発注者側が、検討中の要求仕様やプロジェクト体制、コスト等について実現可能性を考慮した提案依頼を作成するために必要な情報を、システム開発会社等に対し提供依頼するものです。

1-3 RFPとの違いは?

RFIとよく似た言葉にRFP(Request For Proposal:「提案依頼」「提案依頼書」)があります。民間企業であればRFPはシステム発注プロセスの中で実施されるためこちらの方が馴染みのある方が多いのではないでしょうか。逆に公共組織では、入札に際しての調達(要求)仕様書と同義に扱われていることが多くRFPという言葉を使用することは少ないかもしれません。
ではこのRFPとRFIの違いはどこにあるのでしょうか。
RFPによってより良い提案を受けるためには、システムに要求する事項を明確に示す必要がありますが、発注者側では知識不足等のためその判断が難しい場合があります。そこで、必要な情報の収集と整理を行うためRFIを実施することがあるのです。

RFPの作成やメリットについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2.RFIの必要性と実施タイミング

これまでRFIの目的やRFPとの違いについて解説してきましたが、ではRFIはどういったどのような場面やタイミングで実施・発出されるのでしょうか。ここからはRFIのメリットを踏まえながらその実施要否や発出タイミングについて解説します。

2-1 RFIのメリット

RFIを実施することで得られるメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

①詳細な情報を収集することができる

Webサイトやカタログには載っていない情報や、新規開発や機能追加等、未公表の情報を得ることができる点は大きなメリットと言えます。また、導入実績についても、自社の業種や規模等に即した情報を得ることが可能です。

②プロジェクトや要件の妥当性を判断することができる

RFIを複数社に同条件で提示することで、市場の把握と比較が可能になります。そのため、自社がシステム化の目的としていることや、必要と考えている要求について、実現可能性や費用対効果の側面から妥当性を判断することが可能になります。

③ベンダー選定の正当性を担保できる

参入ベンダーの少ないシステムを除いては、提案依頼対象の選定はシステム発注の成否に関わるとても重要な工程です。RFIによって情報収集をすることで、要求仕様、価格等様々な側面からスクリーニングが可能となり、ベンダー選定の正当性を担保することができます。

これらのメリットを享受できる場合、つまり、提案依頼を出すには情報が不足している、要求仕様を固めることができていない、ベンダー選定の基準が欲しい、といった場合には、RFIを実施すべきと言えます。
反対に、これらをメリットと感じないような、情報が十分にあり要求仕様が確定できている場合や、メリットとしては小さく時間やコストを優先したいという場合には、RFIを実施する必要は無いと言えるでしょう。

2-2 システム発注プロセスにおけるタイミング

システム発注プロセス全体でみると、RFIは現状の課題やシステムに求める事項を整理し終えた後、実際にどのようなシステムを導入/刷新するかという計画策定の初めの段階で実施します。実施後、RFIで得られた情報や要求の実現可否に対する回答を元にシステムへの要求を具体化し、システム導入/刷新計画書を策定します。
このプロセスの期間はプロジェクトによって異なりますが、公共組織では大規模システムの調達の際等、正当性や信頼性を高めるために、調達前年等に時間をかけてRFIを実施することも多くあります。プロジェクト全体のスケジュールを考慮して、発注プロセスに取り入れることが重要です 。

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3.RFIの記載項目

では、実際にRFIを作成する際にはどのような内容を記載するのでしょう。
ここからは、RFIの記載項目について例をあげながら、各項目での留意事項(★) を示し解説していきます。

3-1 RFIの趣旨・目的

どのような経緯でRFIを実施することとなったのか、どのようなシステム導入/刷新を検討しているのかといった背景を含み、RFIに何を期待しているのかという目的を明確に示す必要があります。
★この趣旨や目的を明確に記載しないと、ベンダーからの回答が期待外れになってしまう可能性が高くなります。

3-2 自社情報及び発注の範囲

ベンダーに期待に沿った情報提供をしてもらうためには、自社情報を明らかにする必要があります。事業概要や会社の規模といった基本的な情報に加え、検討している発注がどの業務範囲かを提示します。
★前提条件となるシステム環境等がある場合にはそれを明確にすることで、自社に合わせた提案を含む情報提供を期待できます。

3-3 現状課題と目指す姿

システム導入/刷新を検討するということは、現状では何かしらの課題があるということだと思います。その課題を明確にし、システム導入/刷新によって何を実現したいのか、これまでのフェーズで検討してきた内容を記載します。
★これは、ベンダーとの認識齟齬を防ぎ、適切な情報を提供してもらうためには不可欠な情報です。そのため、RFIの実施前には課題整理等を終えておく必要があるのです。

3-4 システムに求めること

基本的にRFIの段階で細かく要求を提示することはしませんが、どうしても必要な機能や実現したいこと、スケジュール等、選定の前提条件になり得るものがあれば記載します。記載した場合、回答によりその実現可否を見極めて実際に要求仕様として採用するかを検討します。
★機能等を細かく指定しすぎると、ベンダー側にとってはRFI作成の作業負荷が大きくなるため、回答を得ることが難しくなる場合があります。あくまでも情報収集段階であることを念頭に、カタログ等から読み取れないどうしても確認したいことに絞ることが大切です。

3-5 求める情報

RFIですから、どのような情報を提供してもらいたいのか、明確に記載する必要があります。
主には、下記の事項です。

  • 会社概要
  • プロジェクト体制
  • システムの想定利用規模
  • 適合サービス・製品
  • 対象サービス/システムの適合性や適合のためのオプション等提案
  • 各サービスの導入費用とランニングコスト
  • 運用体制

また、RFIで求められる情報に決まりはありませんので、必要な情報があれば適宜追加します。
★ただし、詳細な情報を得る場合には事前にNDA(秘密保持契約書)を交わす必要が出てくる場合があります。

3‐6 RFI目次サンプル

下記の内容はRFIの目次の一例です。プロジェクトの内容によって記載内容が変わる場合がありますので、参考としてご覧ください。

4.まとめ

RFIは一般的には情報システム発注に必須の工程ではありませんが、GPTechではシステム発注を成功に導くためにはRFIによる情報収集が有効であると考えており、システム発注の支援に入る際には可能な限り実施しています。
GPTechではRFIの作成はもちろん、その前段階として課題の整理やシステム化の検討からお手伝いいたします。お気軽にお問合わせください。

 

この記事の編集者

下里 朋子

下里 朋子

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに中途入社。ITコンサルティング業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するメディア運営業務にも携わる。

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