請負契約
請負契約は、受注側が決められた成果物を作成し、期限内に納品することを約束するために締結する契約の形態です。
情報システムの企画・開発・運用・保守を外注する際の契約形態にはいくつかの種類がありますが「請負契約」はそのうちのひとつです。情報システム開発の請負契約における成果物の例としては、開発されるシステムそのもの(ソフトウェア)や、システムの仕様書/設計書、テスト計画書などが挙げられます。具体的に何を成果物と扱うかについては、契約の都度、決めることになります。
請負契約では「決められた成果物を期限内に納品すること」が重要です。契約通りの成果物が完成しなかったり、期限内に納品できなかったりした場合は支払いが行われないことになります。このような状況を発生させないためには、発注側と受注側が契約前に成果物の要件や品質を十分に議論し、共通の理解を持たなければなりません。
ただし、納期を守って要求通りの成果物を納品した場合でも、納品当初には気付かない不具合が潜んでいることがあります。この場合、不具合に気づいてから1年以内に受注者側に通達することで、受注者側に不具合を是正しなければいけないという義務が生じます。これを契約不適合責任といいます。ただし、不具合発覚後5年、または納品後10年を経過すると、この権利は消滅します。
また、発注側としても注意しなければいけないことがあります。請負契約の場合、発注側は「あとはシステム開発会社にお任せ」という意識になってしまう傾向があります。しかし、それでは品質の良いシステムにはなりませんし、思っていたものと違うという結果にもなりかねません。これを防ぐために、上流工程と呼ばれる「要件定義」や後工程の「受入テスト」には積極的に参加すべきであり、これらは、発注側の責任において行われなければなりません。
なお、「要件定義」や「受入テスト」について、発注側企業だけで進めることが困難な場合、システム開発会社の協力が不可欠です。このために、請負契約で行われるシステム開発とは別に業務の委託契約を締結することがあり、その形態は準委任契約が一般的です。
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