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公共組織においてPMO(全体管理組織)が担う機能・業務とは?

本記事では、公共組織において、PMO(Portfolio Management Office)と呼ばれる「全体管理組織」が、どのような機能を持って組織内の情報システムに関与しているかを解説します。

中央省庁では既にPMOが設置され運営が始まっていますが、独立行政法人にもPMOの設置が求められるようになりました。ただし、PMO(Portfolio Management Office)という用語は、恐らく中央省庁以外ではあまり馴染みがなく、どちらかというとPMO(Project Management Office)であれば知っている、という方が多いかもしれません。

そこで、本記事では、PMO(Portfolio Management Office)がどのような機能や業務を期待されている組織なのかご紹介します。

独立行政法人をとりまくデジタル政策については、こちらの記事をご覧ください。

 

PMO(Portfolio Management Office)とは

PMO(Portfolio Management Office)について、デジタル庁から公開されている文書や、他のPMOとの違いから、どのような役割を持つ組織なのか整理します。

 

デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインにおける定義

PMO(Portfolio Management Office)について、政府の情報システムの整備及び管理についての手続・手順等をまとめている、デジタル社会推進標準ガイドライン群の中の「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」においては、「第2編 ITガバナンス」で詳しく記述されています。

各府省は、ITガバナンスを機能させるため、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理について、次のとおり全体管理を行うものとする。
デジタル庁が政府情報システムの統括及び監理を行う中で、各府省は、PMOがITガバナンスの中核として役割を果たすことができるよう、人事担当部門、会計担当部門、広報担当部門、情報セキュリティ担当部門等官房各機能と連携・協力し、訓令等により府省内手続を明文化するとともに、府省内に周知の上、定着させるものとする。

引用元:「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」p11

 

他のPMOとの違い

また、一般的に“PMO”と呼称されることの多い、「Project Management Office(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」「Program Management Office(プログラム・マネジメント・オフィス)」と比較すると、PMO(Portfolio Management Office)の位置づけがより明確になります。

以下の図は、独立行政法人を例に3つのPMOをプロットしたイメージ図ですが、PMO(Portfolio Management Office)の中にはCIOやCIO補佐官が含まれており、組織内の特に“IT施策“に関する全体管理を担っていることが分かります。

3つのPMO

PMOに求められる機能

前述の通り、PMO(Portfolio Management Office)は、ITガバナンスの中核を担っており、組織の全体を管理する役割があることが分かりました。
府省におけるPMO(Portfolio Management Office)の機能についても、デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン(p12~15)に記載されています。

a)計画管理
b)プロジェクト推進責任者等
c)デジタル人材管理
d)予算管理
e)執行管理
f)データマネジメントの推進
g)情報資産管理
h)PJMO支援
i)ドメイン管理
j)システム監査管理
k)政府情報システムに係る文書管理
l)デジタル人材の業務環境整備
m)連絡調整窓口(デジタル庁との連絡調整に関する窓口)
n)非常時対応

引用元:「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」p12~15

 

上記の通り、PMOは14の機能が定義されていますが、政府独自の要素を排除して「業務の種類」として抽象化すると、以下の5種類に分類することができます。

  1. 情報システム台帳の整備
    b)プロジェクト推進責任者等、g)情報資産管理、i)ドメイン管理などが該当
  2. 情報システム予算の管理
    d)予算管理、e)執行管理、h)PJMO支援、n)非常時対応などが該当
  3. 情報システム調達の管理
    h)PJMO支援などが該当
  4. 情報システムのライフサイクル全体に対するプロジェクト監理
    a)計画管理、f)データマネジメントの推進、h)PJMO支援、n)非常時対応などが該当
  5. 情報システム横断的な戦略・計画
    a)計画管理、c)デジタル人材管理、l)デジタル人材の業務環境整備などが該当

※上記の分類は、IT調達ナビの運営会社である(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーの独自の見解です。

PMO(Portfolio Management Office)は、組織の情報システム全体を管理する組織ですから、まずは組織内に存在する情報システムのすべてを把握する必要があります。
そのため、「1.情報システム台帳の整備」においては、まずは組織に存在する情報システムのシステム名、担当部署、利用目的、主要ユーザの属性などを一覧にまとめた情報システム台帳を整備しなければなりません。

これまで個々の部署やプロジェクトにシステムの調達を任せていた場合、情報システムに関する情報が一元的にまとまった文書がない可能性もあります。その場合は、まずは情報システムの一覧を作り始めることから、PMOの業務はスタートすることになるでしょう。

 

PMOの設置に向けた検討を進める際のポイント

本記事では、PMO(Portfolio Management Office)についての役割や機能、業務についてご紹介しました。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインに記載されている14の機能を見た際に、こんなに求められる機能が多いのでは自組織でPMOの体制を新しく組んで運営することは難しそうだ、と感じた方もいるのではないでしょうか。

その感覚の通り、一度にすべての業務や機能を果たそうとすることは、やはり現実的ではありません。

公共組織の場合は、職員の定数もあるためむやみに自組織の要員は増やせませんし、何より現場の検討を審査するような役割ができるため、現場の理解を得ずに急にガバナンスのレベルを強めてしまうと、現場の情報が見えづらくなってしまい返ってPMOが機能しにくくなることが想像されます。

そのため、まずは現在のITガバナンスのレベルにあわせて、できるところから少しずつ取り組んでいくことが必要です。職員が増やせないならまずは外注で一時的にPMOの要員を確保する方法も考えられます。

また、PMOは「管理」だけではなく、現場の検討を「支援」することも同時に必要です。ITガバナンスを強化するためには、同時に「支援」機能も提供していけば、現場からの理解も得られつつ、全体のレベルの底上げにつながるのではないでしょうか。

以下の記事では、PMO(Portfolio Management Office)を新しく設置した場合に、まずはどのような業務から行っていけばよいのかについて、本記事よりも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

 


また、IT調達ナビの運営会社である、株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーでは、独立行政法人向けにPMOの設置に向けた検討やPMO業務の運営を支援するサービスを提供しています。

サービスの詳細については、こちらからご覧ください。

この記事の編集者

GPTech編集者

GPTech編集者

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 ITコンサルティング業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するというメディア運営業務にも携わる。

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