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独立行政法人で設置が求められるPMOとは?背景や動向を1から解説します

本記事では、公共組織において情報システムに関する業務に従事されている職員の方、特に独立行政法人の職員の方に向けて、政府では整備・運営が進んでいる「PMO(全体管理組織)」と呼ばれる組織についてご紹介いたします。

ここでのPMOとは、「Portfolio Management Office」の略であり、組織内のIT施策に関する全体管理の機能を担う組織のことです。“管理”というと、現場の職員の方からすればあまりよい印象を持たれないかもしれませんが、PMOは“管理”だけではなく、“支援”の役割を担っています。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和3年12月24日閣議決定)」に基づき、各独立行政法人は中期計画において、「PMOを設置すること」を定めることとなりました。
そもそもPMO(全体管理組織)がどのようなものか分からないという方や、独立行政法人でPMO設置が求められている背景について詳しく知りたいという方に向けて、詳しく解説します。

独立行政法人をはじめとした公共組織における情報システム関連業務でよくある課題

独立行政法人をはじめとした公共組織において、情報システム関連の業務を担当する職員の方の中には、様々な悩みを抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

各職員の立場から、どんな悩みや課題がありがちか、いくつかあげてみたいと思います。

まずは、公共組織では、民間企業と違い、基本的に2~4年のスパンで人事異動が行われますが、そのために、個別の情報システムの整備を行う業務を担当する職員においては、以下のような課題が起きていると考えられます。

  • これまで全く情報システムに関する業務に携わったことがなく知見もないのに、急に情報システムの担当に異動となり、どのように業務を進めればよいのか分からない
  • 前任者からの引継ぎ文書がほとんど残っておらず、また、引継ぎ期間も短いため、過去の検討を繰り返して手戻りが発生し、過去の決定事項の背景や経緯が理解できないまま業務を進めて行き詰ってしまう

また、情報システムを一元的に管理している、情報システム部や総務部等でも、以下のような課題や問題意識を持っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 組織内に存在している情報システムのすべてを把握しきれておらず、サポート期限切れのソフトウェアを利用している情報システムが後から見つかることがある
  • なかなか組織内でIT人材が育たず、常に情報システム関連の業務に体制不足の状況が続いている

さらに、情報システムの予算や調達の審査を担う、経理部や調達部においても、こんな状況が発生していませんか。

  • 情報システム予算の適切な審査の方法が分からず、過去の実績や相見積もりの結果の比較でしか審査ができていない
  • 情報システムの調達は個別プロジェクトに任せてしまっており、計画通りに進まないことや追加費用が発生するといった問題があり、ITガバナンスが機能していない

上記にあげた様々な課題は、すべての公共組織で起こりうると考えられますが、これらの解決の糸口となるのが、PMO(全体管理組織)によるITガバナンスレベルの底上げです。

 

独立行政法人においてPMO設置が求められる背景

冒頭でも触れたとおり、既に政府機関では、PMO(全体管理組織)が設置されて数年が経ち、ITガバナンスが機能しつつある省庁が増えています。

参考記事:農林水産省PMOの組成に関する記事「ガバメントクラウドを使わず独自クラウドを推進、農水省が決断したワケ」

 

デジタル庁の発足に伴って独立行政法人に求められる動き

デジタル庁発足に伴い、デジタル庁は国の行政機関だけでなく、独立行政法人(以下、「独法」という。)の情報システムの方針に対しても一定の権限を持つことになりました。

「情報システムの整備及び管理の基本的な方針(令和3年12月24日デジタル大臣決定)」(以下「整備方針」という。)において独法における情報システムの整備及び管理の基本的な方針が示されるなど、独法を取りまくデジタル政策や指針は大きく変化するタイミングを迎えています。「デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和3年12月24日閣議決定)」に基づき、各独法は令和4年度内に「中期目標」において以下の2点を定めることとなりました。

 

  • 「PMO(Portfolio Management Office:全体管理組織)」を設置すること
  • 「整備方針」に沿った情報システムの整備及び管理を実施すること

 

・・・デジタル庁は、独立行政法人の情報システムの効率化、国、独立行政法人等の相互の連携を確保するための基盤の構築等について、情報システム整備方針に沿って取組を進める。(「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和3年12月24日閣議決定)p98)

 

・・・具体的には、各主務大臣は、情報システム整備方針を踏まえ、所管の全ての独立行政法人の目標を令和4年度(2022 年度)中に速やかに変更する(令和3年度(2021 年度)に情報システム整備方針を踏まえて次期目標を策定済みの独立行政法人を除く。)。(「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和3年12月24日閣議決定)p109 )

 

・・・独立行政法人の情報システムの整備及び管理については、国、独立行政法人等の相互の連携を確保する等のため、各独立行政法人は、PMO を設置し、当面は政府情報システムの整備方針(本整備方針「国の情報システムの整備及び管理の基本的な方針」中1.、2.、3-1-4.、4-4-1.及び4-4-2.6に掲げる事項を指す。)に準拠しつつ整備及び管理を行う。(「情報システムの整備及び管理の基本的な方針」(令和3年12月24日 デジタル大臣決定)p26)

引用元:

 

ただし、現時点(2022年10月31日時点)で、PMOの設置期限については明確に示されていません。また、PMOとして実施する業務範囲や業務レベルについての基準も示されていない状況です。PMO設置を目標に掲げたものの、多くの独法において具体的な検討を進めるための材料・情報が不足している状況が想定されます

 

そもそもPMO(全体管理組織)とは

一般的に「PMO」という用語は、下記3つのいずれかの呼称として使用されます。

  1. Project Management Office(プロジェクト・マネジメント・オフィス)
  2. Program Management Office(プログラム・マネジメント・オフィス)
  3. Portfolio Management Office(ポートフォリオ・マネジメント・オフィス)

画像引用元:GPTechプレスリリース「GPTechが、独法向けに「PMO(全体管理組織)」の設置・運営を支援するサービスを提供開始。閣議決定されたPMO設置目標の実行を支援。」

今回、独法において設置が求められるPMOは、「3.Portfolio Management Office」で、全体管理組織とも呼ばれます。組織内に存在する全ての情報システムを一元的に取りまとめ、予算や体制の適切な配分をコントロールする役割が求められます。

 

これまでのデジタル政策の経緯

政府機関においては、「電子政府構築計画」や「業務・システム最適化指針」に基づき、2003年度から2005年度ごろにかけてPMOが設置されました。その後、2014年度に「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」(現「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」。以下、「標準ガイドライン」という。)が策定され、現在、各政府機関では標準ガイドラインに基づくPMO業務が運営されています。デジタル庁の総合調整機能のもと、PMOが各政府機関のITガバナンスにおいて大きな役割を果たしています。

独法においては、2005年度に決定された「独立行政法人等の業務・システム最適化実現方策」により、政府機関と同様、CIO及びCIO補佐官の設置を行うこととなりましたが、一方で、PMOは設置されませんでした。また2014年に策定された標準ガイドラインは政府機関のみを対象としており、独法には適用されませんでした。従って、このたびデジタル庁が策定した整備方針は、独法にとって2005年度以来のITガバナンス改革となります。

 

独立行政法人をはじめとした公共組織におけるPMOの業務

公共組織におけるPMOの業務範囲として、「情報システム予算や調達の管理」から、「情報システムのライフサイクル全体に対するプロジェクト監理」、「情報システム横断的な戦略・計画の策定・実行」や、「IT人材強化計画の策定・実行」など、業務の種類が多岐にわたっており、かつ、各業務のレベルや精度を高めていくことが必要となります。

PMO(全体管理組織)は、名前から想像される通り、「管理」の役割を持っていますが、同時に情報システムの整備を推進する現場の職員の検討を「支援」する役割も持っており、「管理」と「支援」の両面からPMOの整備を進め、組織全体のITレベルを高めていくことが重要です。

PMOの業務範囲に関する詳細の記事はこちらからご覧ください。

 

PMO設置に向けてまずすべきこと

それでは、実際に独立行政法人においてPMOを設置するために、まずは何から始めるべきでしょうか。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインにはPMOが担うべき役割が記載されていますが、PMOの立ち上げ当初からすべての役割を担っていくことはハードルが高く現実的ではありません。まずは現状のITガバナンスレベルに応じて、次に目指すべき目標を設定し必要な体制を整備した上で、ステップアップしながらITガバナンスの成熟を図っていくことが必要です。

参考資料:デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン

 

現状のITガバナンスレベルを診断する

現状の組織のITガバナンスレベルを診断するものとして、いくつかの企業が診断・評価サービスを提供しています。

本メディア(IT調達ナビ)を運営しているGPTech社でも、ITガバナンス成熟度診断サービスを提供しています。現在のITガバナンスレベルと、PMOの設置の必要度・推奨度をレポートし、ITガバナンスのレベルを成熟させるために次に実施すべき施策も提案いたします。

市場にある診断サービスは、民間企業向けのものが多いですが、本診断サービスは公共組織に特化した診断ですので、過去に診断を受けたが満足しなかったという方にもおすすめできるサービスです。

ウェブフォームから回答できる診断は、利用規約に同意すると無料ですぐにご利用いただくことができます。

サービスの詳細はこちらからご覧ください。

 

 

PMOの重要性

政府機関においてはPMOを中心としたITガバナンス運営の試行錯誤が繰り返されてきました。

ガイドラインの策定・改定を通じて、情報システム予算の適正化、投資対効果の向上、調達の改善、民間IT人材の活用など、さまざまな取組みがなされてきましたが、独立行政法人は変化の波から取り残されてしまっていたのが実態です。

しかし、逆に言えば、政府機関における試行錯誤の上で蓄積されたノウハウを取り入れ、よりスピーディにITガバナンスを強化できる絶好の機会であるとも言えます。

また、ガバナンスというと管理や制約のイメージも強いかもしれませんが、PMOを整備するうえでは、管理機能だけではなく、現場への支援機能を同時に提供していくことで、情報システム関連の業務に携わる職員が抱える悩みや課題にアプローチができる一つの有効な手段と考えます。

ぜひこの機会に、独立行政法人はもちろん、その他の公共組織においても、PMOの設置に向けて具体的な検討を開始してみてはいかがでしょうか。

PMOに向けた検討についてのご相談や、PMO支援サービスについては、お気軽にお問合せください。

 

この記事の編集者

アバター

赤井遥香

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 ITコンサルティング業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するというメディア運営業務にも携わる。

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