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DMZ(Demilitarized Zone)とは?ネットワークを守る「非武装地帯」の役割と構成を解説

DMZ(Demilitarized Zone)とは、外部ネットワーク(主にインターネット)と内部ネットワーク(LAN)との間に設けられた中間的なネットワークエリアを指し、「非武装地帯」とも呼ばれます。

このエリアにWebサーバやメールサーバーなど外部アクセスが必要なサービスを配置し、内部ネットワークを外部の攻撃から守ります。

外部ネットワークと内部ネットワークを分離することから、DMZはセキュリティを強化するための重要な仕組みとなります。

外部アクセスが必要なサーバをDMZに配置することで、万が一侵害されても内部ネットワークへの影響を抑えることができます。

サイバー攻撃の増加やクラウドサービスの普及に伴い、DMZは企業の機密情報や顧客データを守るためのセキュリティ対策として重要になります。

さらに、ファイアウォールやIDSと連携することで、二重の防御ラインを形成し、トラフィック監視ポイントとしても機能します。

このようにセキュリティ強化の重要な仕組みではありますが、DMZ単体で完全な対策になるわけではありません

DMZ内のサーバには、適切なセキュリティ設定やソフトウェアの定期的な更新が求められます。

必要な通信ルールを設定しないと、ネットワークの運用や業務に支障をきたすリスクが高まるのです。

そのため、DMZにサーバを構築する時には運用目的に応じた設定を行い、ファイアウォールや通信ルールを正しく管理することが不可欠となります。

その他、ファイアウォール、VPN、IDS/IPS(侵入検知/防御システム)などの技術とも密接に関連しており、特にファイアウォールを利用してトラフィックのフィルタリングを行い、VPNを用いて安全な接続を確保することが一般的な利用方法となります。

以上のように、DMZはセキュリティリスクを軽減する重要な技術です。適切に設計・運用することが企業のセキュリティ強化につながります。

関連する技術と組み合わせて、効率的かつ安全なネットワーク環境を構築しましょう。

よくある質問

DMZ内に配置するサーバ(Web・メール・DNS等)のセキュリティ管理で、発注者が注意すべき要件は何でしょうか?

DMZに配置するサーバはインターネットと直接接続されるため、内部ネットワークよりも攻撃対象になりやすく、発注者は通常以上にセキュリティ要件を明確にすることが求められます。

これを怠ると、外部攻撃が内部システムへ波及するリスクが高まります。

1.最小権限・最小機能の原則

サーバには必要最低限のサービスやポートのみを開放することが望まれます。

不要な機能やデフォルト設定を残すと攻撃の入り口となるため、導入時に削除・無効化しておく必要があります。

2.定期的なパッチ適用と更新

Web・メール・DNSなど公開系サーバは脆弱性を狙われやすいため、OSやミドルウェアに対するセキュリティパッチを定期的に適用する体制を確立することが不可欠です。

3.監視・ログ管理の徹底

アクセスログやエラーログを収集・分析できる仕組みを備えておくことで、攻撃の兆候や不正利用を早期に検知できます。

ログの改ざん防止や長期保存も重要です。

4.内部ネットワークとの分離強化

DMZ内のサーバが侵害されても内部ネットワークに影響を与えないよう、ファイアウォールやアクセス制御リストで通信範囲を厳格に制御することが求められます。

5.多層防御の実装

ウイルス対策ソフト、WAF(WebApplicationFirewall)、侵入検知システムなどを組み合わせ、多層的に防御を行うことでリスクを低減できます。

このように、DMZ内サーバのセキュリティ管理では「最小構成・更新体制・監視強化・分離制御・多層防御」を発注者が要件として明示することが、安定したシステム運用の前提となります。

クラウドサービスやマネージドサービスを利用している場合、DMZを設ける必要性はどの程度か判断する基準は何でしょうか?

クラウドサービスやマネージドサービスの普及により、従来のオンプレミス環境のように自社でDMZを設ける必要性は相対的に低下しています。

しかし、サービス利用の形態や責任分担に応じて、依然としてDMZ相当の仕組みを検討すべき場面は存在します。

1.責任分界点の明確化

IaaSではOSやネットワークの管理責任は利用者側に残るため、DMZ相当の分離設計が必要です

。一方、SaaSでは提供事業者が多くのセキュリティ対策を担うため、利用者側でDMZを構築する必要性は低いといえます。

2.外部公開システムの有無

Webサイトや業務アプリなど、インターネットに公開するシステムをクラウド上で運用する場合には、依然としてDMZ相当の制御(WAF、リバースプロキシ、セキュリティグループ分離など)を導入することが望まれます。

3.内部ネットワークとの接続要件

クラウド環境と社内ネットワークを接続するハイブリッド構成では、DMZ的な中間領域を設けて通信を制御する必要があります。これを怠ると、クラウド側の脆弱性が社内システムに直接影響するリスクがあります。

4.マネージドサービスの提供範囲

マネージドサービスの中には、監視やパッチ適用まで含むものもあれば、基盤のみの提供にとどまるものもあります。

提供範囲に応じて、自社でDMZ相当の制御を補完すべきか判断することが重要です。

このように、クラウドやマネージドサービス利用時にDMZを設ける必要性は「責任範囲」「公開システムの有無」「内部接続の有無」「サービス提供範囲」の4点を基準に判断することが望まれます。

DMZを運用するうえで、監査・ログ・異常検知の体制をどのように整えると望ましいでしょうか?

DMZはインターネットに公開される領域であるため、攻撃対象となりやすく、監査・ログ・異常検知の体制を事前に整えることが不可欠です。

これを怠ると、不正アクセスや内部侵入の兆候を見逃し、重大な被害へとつながる恐れがあります。

1.ログの収集と集中管理

Web・メール・DNSなどDMZ内サーバのアクセスログやエラーログは必ず取得し、改ざん防止を施したうえで集中管理することが望まれます。

ログを分散管理すると監査性が低下し、インシデント対応が遅れる可能性があります。

2.監査証跡の確保

利用者アクセスや管理者操作の記録を監査証跡として残すことで、不正操作や情報漏えいが発生した際に追跡可能となります。

特に管理者権限の利用については詳細な記録を求めることが重要です。

3.異常検知の仕組み

IDS/IPS(侵入検知・防御システム)、WAF(WebApplicationFirewall)、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)などを活用し、リアルタイムに不審な挙動を検出できる体制を構築することが望まれます。

4.定期的なレビューと改善

収集したログや検知結果を定期的に分析し、設定やルールを見直すことで、未知の攻撃手法にも対応できる柔軟性を確保します。

監査報告を経営層や情報システム部門と共有する仕組みも必要です。

このように、DMZ運用における監査・ログ・異常検知の体制は「収集・集中管理」「証跡確保」「異常検知」「定期的改善」の4点を柱として整えることが、セキュリティリスクを最小化するために求められます。

この記事の編集者

銭場 啓太

銭場 啓太

大学卒業後、東京都特別区職員として13年勤務。ケースワーカー、徴税吏員を歴任後、滞納管理システム担当を2年、情報システム部門に5年従事。業務システム運用の他、グループウェアの刷新、自治体システム標準化やガバメントクラウド移行を担当する。業務の中で、発注者側の強化の必要性を感じ、発注者を支援していきたいという思いから(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに中途入社。主に公共部門の業務支援に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するメディア運営業務にも携わる。

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