システム発注に関わる
すべての人の成功を支援するメディア

IT調達
IT戦略・ITガバナンス
用語集
運営会社

会計システム

会計システムとは、企業の財務・会計業務を効率的に管理・処理するためのソフトウェアです。日々の取引から決算処理まで、企業の会計業務全般を自動化・デジタル化することで、正確性の向上とコスト削減を実現します。

会計システムを導入するメリットは下記の点があります。

1.業務効率の大幅な向上

伝票入力や仕訳作業の自動化により、経理担当者の作業負担を軽減します。これにより、より付加価値の高い業務に時間を使うことができます。

2.ミスの防止と正確性の向上

手作業による入力ミスやチェックもれを防ぎ、会計データの正確性が向上します。また、各種チェック機能により、不正や誤りの早期発見が可能になります。

3.リアルタイムな経営状況の把握

日次での残高確認や財務諸表の作成が可能となり、企業の経営状況をタイムリーに把握できます。これにより、経営判断の迅速化が実現します。

会計システムには主に下記の機能が含まれています。

  • 仕訳・伝票処理:日々の取引データの入力、仕訳処理、伝票の作成・管理等
  • 元帳管理:総勘定元帳、補助元帳の作成・管理、残高管理等
  • 財務諸表作成:貸借対照表、損益計算書等の財務諸表の自動作成
  • 固定資産管理:固定資産の取得、減価償却計算、売却、除却の管理等
  • 債権債務管理:売掛金・買掛金の管理、入金・支払管理、与信管理等
  • 予算管理:予算の設定・実績管理、差異分析等
  • 税務申告:法人税・消費税等の税務申告書類の作成支援
  • レポーティング:各種経営分析資料の作成、グラフ・チャートによる可視化等

会計システムは現代のビジネスには不可欠なツールです。適切に導入・活用することで、経理業務の効率化、経営の可視化、そしてコンプライアンス強化につながります。ただし、導入に際しては、企業規模や業務フローに合った適切なシステム選定が重要です。

また、クラウド型とオンプレミス型の選択、他システム(販売管理や人事給与等)との連携なども重要な検討ポイントとなります。

よくある質問

会計システムと基幹業務パッケージ(ERP)はどう違うのですか?

会計システムは財務会計に特化したシステムであるのに対し、ERPは会計を含め企業の複数部門を統合管理する包括的な基幹業務システムです。

機能と業務範囲の違い

・会計システム
主に仕訳伝票入力・帳簿管理・決算処理・税務申告・経費管理など、財務会計業務に特化したシステムです。会計部門や経理担当者向けの効率化手段として機能します。

・ERP(統合基幹業務パッケージ)
会計機能に加え、販売管理・購買管理・在庫管理・人事給与管理・生産管理など、複数部門の業務を一つのシステムで網羅・連携するプラットフォームです。ERP導入によって、情報の一元化と部門横断の業務最適化が可能になります。

活用の判断基準

・会計業務のみが課題で、導入コストや運用負荷を抑えたい場合は会計システムが適します。
・複数業務の連携や組織横断視点が必要で、リアルタイムな経営情報の活用や統合管理を目指す場合はERPの導入が有効です。

会計システムは財務処理に特化したシンプルなソリューションであり、ERPは全社的な基幹業務を統合管理できるシステムです。

自社の業務範囲や業務課題、予算・リソースに応じてどちらを選ぶべきかを判断する必要があります。両者の違いを理解することで、適切なシステム選定と効果的な導入が可能になります。

会計システム導入時のトラブルとして多い課題や失敗事例はありますか?

導入が失敗となる要因は、下記のように機能面だけでなく組織・プロセスの課題に起因するケースが多く見られます。

よくある失敗事例と課題

・導入目的の曖昧さと現場の混乱
管理会計システムなどでも、経営層の導入動機が現場に共有されず、「何のために導入するのか」が不明確なまま進むと、現場が混乱し、期待された効果が得られない場合があります。

・データ連携不足による手作業増加
基幹系や販売管理、勤怠管理などとの連携が不十分だと、CSV出力・手動によるデータ加工・アップロードのような手作業が発生し、業務効率が逆に低下することがあります。

・機能過多・分析軸の乱立による煩雑な運用
分析機能の設定や視点を詰め込みすぎることで、入力負荷や操作ミスが増え、そもそも運用が継続できない失敗例も報告されています。

・サポート体制や運用責任の欠如
導入後に社内体制が整備されておらず、運用・定着を担う責任者が不明確だと、システム自体が使われず、活用が進まない場合があります。
また、操作マニュアルやユーザー支援が十分でないと、使い方が分からず活用できないまま契約コストだけが残るケースもあります。

会計システム導入の失敗の多くは「システムそのもの」よりも、導入前後の準備不足・体制設計の不備に起因します。

目的の明確化と現場合意、適切な連携設計、段階導入と教育体制の整備が成功の鍵です。これらを踏まえた慎重な選定とプロジェクト設計が、システム導入による効果を最大化することにつながります。

古い会計システムから移行する際、データ移行(実績・履歴)で注意すべき点は?

データ移行では、業務理解・マスター整備・移行手順の検証・整合性確認が欠かせません。特に過去データの取り扱いや新旧システム間で異なる仕様の把握不足によるトラブルが多く発生します。

・業務横断的な理解と設計知識の不足
旧システムの仕様書だけでは、システム改修の履歴や業務背景の全容が把握できないことが多く、業務理解不足が原因で、正しくデータ移行できないリスクがあります。

・マスタ項目・勘定科目コード等の整備
勘定科目、補助科目、部門コードなどのマスタデータについては、移行対象の命名規則や桁数の確認、名寄せ(重複整理)が必要です。インポート仕様に合わせてあらかじめ整理・検証しておくことが重要です。

・移行方法とテスト運用の徹底
一括移行だけでなく、段階的な移行や並行運用も検討が必要です。短期間での切り替えは業務負荷や不具合のリスクが高いため、一部の業務から順に移行することで、検証と調整がしやすくなります。並行稼働期間を設けることで、旧システムとの整合性を比較できる点も利点です。テスト環境でのリハーサルは複数回行い、業務担当者を交えた確認を徹底しましょう。

・データ整合性と形式の確認
移行後には、残高一致・仕訳数・主要帳票(試算表・貸借対照表等)の出力結果を移行前と照合し、一致するかを確認する必要があります。インポート形式や補助科目対応漏れなどによる整合性の失敗を防げます。

・移行後の定着支援と評価体制
新旧システム並行稼働中および移行後には、ユーザー教育や問い合わせ対応窓口の設置、運用監視や評価の仕組みを整え、問題点や改善要望を継続的に反映できる体制を構築しましょう。

旧会計システムからの移行においては、業務の背景知識やマスタ整備、移行方式の選定と検証、本番移行後の整合性確認や体制構築がカギとなります。

形式や期間だけで判断せず、導入前の準備・テスト・移行後のフォローアップを明確に設計することで、円滑な移行と業務継続が可能となります。


あわせてこの記事をチェック

この記事の編集者

柳元 華奈

柳元 華奈

北京大学日中通訳専門修士卒。日本経済の活性化を目指し、日本のIT変革やアジアとの架け橋となるべく、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 主に民間企業のシステム刷新プロジェクトに従事し、同社のPR・マーケティング全般の業務やIT調達ナビの運営業務にも携わる。

この記事をシェアする