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業務移行とは?新システムの導入時に必要な検討事項を交えながら解説

業務移行とは、新システムのリリースに伴い、既存業務から新業務へと円滑に切り替えるために行う一連の移行対応のことです。

システム利用者が業務を継続しながらスムーズに新システムを利用できるようにするため、業務面での移行準備や対応手順を検討・実施する必要があります。

業務移行は、データ移行システム移行と密接に関わっており、これらと合わせて移行を計画的に進めることが、プロジェクト成功のカギとなります。

業務移行は、システム開発よりも業務現場との調整が重要な領域であるため、業務に精通した発注者側の積極的な関与が不可欠です。

業務移行の検討事項としては、一例ですが下記の点があります。

  • 移行時期
    業務やシステムの稼働状況を考慮した、最適な移行タイミングの設定
  • 並行稼働の要否
    旧システムと新システムを一定期間同時に稼働させるかの判断(必要に応じてデータ整合性も検討)
  • 従業員向け研修
    仮に並行運用がなく、一斉切替方式であれば従業員向けの研修は早めに準備する必要があります。また、研修の際はシステムマニュアル(システム機能の使い方を知るために参照)だけでなく、業務マニュアル(業務を遂行するために参照)の用意も必要です。
  • システム許容停止期間
    業務に支障をきたさないよう、許容できるシステム停止時間の明確化と共有

業務移行を成功させるためには業務切替方針、データ移行方針、システム切替方針のそれぞれの役割分担についてプロジェクトメンバー全体と合意が取れていることが重要です。

よくある質問

業務移行の失敗で起こりうるリスクにはどのようなものがありますか?

業務移行が適切に設計・準備されていないまま進められると、業務停止・データ不整合・混乱長期化などの重大リスクが発生し、事後の立て直しにも多大な負荷がかかります。

主なリスクの例

1. 業務フローの混乱・作業遅延
現行業務との整合性が取れていないまま新業務へ移行すると、現場での手順不一致や対応漏れが生じ、作業の遅延・やり直しが発生します。

2. データ仕様やマスタ整備の不備
マスタ項目(勘定科目、部門コードなど)が未整備な状態で切り替えを行うと、登録エラーや帳票出力の不具合が発生することがあります。

3. ユーザー教育不足による誤操作・問い合わせ集中
操作方法や業務ルールが浸透しないまま本番運用に入ると、現場での混乱が広がり、サポート窓口への問い合わせが集中する原因となります。

4. 移行方式やタイミングの誤り
一括切替を無計画に行うことで、旧・新システム両方で作業が滞り、業務が一時停止するなどの重大な影響を及ぼす場合があります。

5. 検証不足による業務不整合の見落とし
業務リハーサルや整合性検証を十分に行っていない場合、移行直後に問題が表面化し、初期トラブルの対応に多大なリソースを要するケースも見られます。

業務移行の失敗は、業務停止・誤処理・運用の混乱など、事後の是正に大きな負担を伴います。

業務内容や現場の実態に即した設計・教育・検証を丁寧に実施することが、移行リスクの低減に直結します。

段階移行と一括切替、それぞれのメリット・デメリットは?

業務システムの切替においては、「段階移行(フェーズ導入)」と「一括切替(ビッグバン方式)」のいずれかを選択するのが一般的です。

それぞれに特徴があり、業務の性質や体制に応じた選定が重要です。

段階移行(フェーズ導入)

メリット:

・小規模で始めることで、初期リスクを抑えられる
・業務ごとの定着度や課題を見極めながら進められる
・現場に合わせた柔軟な調整が可能

デメリット:

・旧・新システムの併用が必要となり、運用が煩雑化しやすい
・データ連携や整合性確保の設計が複雑になる
・全体最適までに時間を要する可能性がある

一括切替(ビッグバン方式)

メリット:

・一定のタイミングで全体最適化を実現しやすい
・旧システムの維持・並行運用コストが発生しない
・組織全体で変革意識を共有しやすい

デメリット:

・移行タイミングに失敗すると業務全体に影響が及ぶ
・移行前の検証・教育・リハーサルの準備負荷が大きい
・トラブル時のリカバリー手段が限られる

移行方式の選定は、対象業務の重要度・スケジュールの柔軟性・現場の対応力・リスク許容度などを踏まえて検討することが重要です。

段階移行は柔軟性重視のアプローチ、一括切替は短期集中型のアプローチと捉え、自組織に最適な方法を見極めましょう。

業務移行の成否を判断する基準はどこに置くべきですか?

業務移行の成否は、計画どおりに業務が再開できたかどうか、および現場で大きな混乱なく継続運用できているかを軸に判断することが基本です。

主な判断基準

1. 業務の停止や遅延がなかったか

・予定されたスケジュールどおりに業務を開始できたか
・想定外のトラブルにより、業務に支障が出ていないか

2. 新システム上で業務が正確に実行できているか

・必要な機能・帳票が移行後も問題なく使えるか
・マスタ設定やデータ仕様の誤りがないか

3. 業務担当者が新しい業務手順・操作に対応できているか

・現場での混乱や問い合わせが収束しているか
・誤操作・入力ミスの頻度が落ち着いているか

4. データ整合性や移行漏れの有無

・移行前後で、残高・仕訳・帳票等の整合が取れているか
・データの欠損や重複、不正な変換が発生していないか

5. 初期トラブル発生時の対応状況

・トラブル発生時に適切な対処・連携ができたか
・一時対応だけでなく恒久対応が進められているか

業務移行の評価は、「システムが動くかどうか」だけでなく、「現場が支障なく業務を継続できているか」という業務実態の視点で総合的に判断する必要があります。

単にトラブルの有無で判断せず、現場運用・ユーザー対応・データ品質・定着度といった観点を複合的に見極めることが重要です。

この記事の編集者

柳元 華奈

柳元 華奈

北京大学日中通訳専門修士卒。日本経済の活性化を目指し、日本のIT変革やアジアとの架け橋となるべく、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 主に民間企業のシステム刷新プロジェクトに従事し、同社のPR・マーケティング全般の業務やIT調達ナビの運営業務にも携わる。

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