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システム移行

システム移行は、企業や組織が既存の情報システムから新しいシステムへと移行するプロセスを指します。通常新システムの導入ではシステム開発→システムテスト→システムの移行という流れで進行します。システム移行はその中でも最後の工程となります。

 

システム移行には主に一斉移行方式、順次移行方式、並行運用移行方式の三つの方式があります。

一斉移行方式は、全てのシステム一度に移行する方式です。メリットとしては移行期間の短さやコストの低さがありますが、デメリットとしては移行の際に問題が生じた場合、リスクが高くなります。このような移行のリスクを回避するために入念な移行計画書の作成及びリハーサルが必要となります。

順次移行方式は、システムを業務・機能などの単位で順次移行する方式です。メリットとしては移行負荷の低さとトラブル発生時の影響の低さが挙げられます。一方デメリットとしては費用の高さが挙げられます。また、この方式の注意点としては分解された業務や機能の関連性について検証が足らず、移行後にデータがうまく繋がらない場合があります。そのため移行業務や機能の関連性を事前に充分検証する必要があります。

並行運用移行方式は、新旧のシステムを一定期間同時に運用し、徐々に切り替えていく方式です。メリットとしては安全性の高さがありますが、デメリットとして移行にかかる手間とコストが高いこと、新旧のデータの不整合が起こりやすいというものがあります。

 

システム移行の手順は、以下の4つになります。

1. システム移行方針書の作成

 PJ要件やテスト方針書を踏まえてシステム移行方針書を作成し、プロジェクトメンバー内で合意を得ます。システム移行方針書では、現行システムから新システムへ切り替える方法の方針について整理します。(移行時期、並行稼働可否など)

2. システム移行計画書の作成

 システム移行方針書を基にシステム移行の要件、移行時期、移行範囲、移行方式、移行ツール、移行結果の検証方法などについて具体化していきます。なお、システム移行計画書は随時更新していくものであり、受入テスト・本番移行のフェーズでも随時更新していきます。

3. システム移行手順書の作成

 システム移行計画書を基に、システム移行の作業工程、各工程に必要な設備や環境及びデータ、各工程の完了基準を整理し、システム移行手順書を作成します。作成時は作業実施者の視点で、何をするのかが明確にわかるように記載することが重要となります。

4. 移行リハーサルの実施

 移行手順書に従い、移行リハーサルを行います。問題が発生した場合は、受入テストまでに不具合の改修と再テストを行います。また、コンティンジェンシープランの策定も重要なポイントです。

5. 受入テストの実施

 システム開発のプロセスの中で最後に行われるテストを指します。これが完了することでシステム開発が完了し、システム開発会社が納品を行う基点となります。

なお、受入テスト実施に向けて受入テスト実施者には研修を実施します。この時、利用機器・端末の準備、テスト環境の準備が行います。

4. 本番移行/一般向け研修(全社員・社外)の実施

 受入テストで問題がない場合、本番移行と並行して新システムの社員向けの研修を行います。システムの本番移行作業はシステム移行手順書に基づいて実施されます。本番移行後は移行手順書に記載した内容が全て完了していることを確認し、新システムの稼働状況を判定します。システム稼働において問題がなければ新システムのリリースへとなります。

 

システム移行を成功させるためには、システム移行計画書で具体化する内容(システム移行の要件、移行時期、移行範囲、移行方式、移行ツール、移行結果の検証方法など)が最も重要です。この内容に不備が発生すると開発の手戻りや遅延につながるためです。

 


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この記事の編集者

大野 誠司

大野 誠司

日本のIT変革の一助となりたいと考え(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 主に民間企業の情シス業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するというメディア運営業務にも携わる。

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