ERPとは?目的や機能、基幹システムとの違いを解説!
1. ERPとは
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、企業が持つ全ての資源(=「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」)を1か所に集めて管理し、有効活用するという考え方を指します。近年ではそれを実現するシステムを「ERPシステム」と呼びます。他にもいくつか呼称があり「ERP」や「業務統合パッケージ」、「統合基幹業務システム」と呼ぶこともあります。
2. ERPの重要性とビジネスへの影響
ERPシステム(以降、ERPと記載)が登場する以前、多くの企業ではそれぞれの部門が独立したシステムや手法で運営がなされており、異なるデータベースやプラットフォームを使用していました。この結果、データの重複や矛盾が生じやすく、部門間のデータ連携の困難さや非効率性(データの二重入力)が問題となっていました。これは会社の規模が大きくなり、業務が複雑化するほどにより顕著となりました。
こうした背景からERPは開発されました。ERPは製造や人事、顧客関係情報などといった情報(従来では基幹システムでそれぞれ管理されていた)を統一されたデータベースで一元管理することが可能です。これにより情報の一貫性を保ちながら運用を効率化することが出来ます。現代においては企業が直面する市場の変化や競争の激化に迅速に対応するため、ERPは今や組織にとって必須のツールとなっています。
3. ERPの目的
では、ERPはどのような目的で企業に導入されるのでしょうか。
一般的には以下の3つがあげられます。
- 効率的な情報管理:統合されたデータベースにより情二報を一元管理できる。
- コスト削減: 業務プロセスの効率化により、無駄なコスト(データ二重入力など)を削減できる。
- 意思決定の迅速化: 一元管理されたデータを基により迅速かつ正確な意思決定が可能になる。
いずれも組織の規模や業界に関わらず、企業の業務全体の無駄を省き、効率化を図ることで全体のパフォーマンスを向上させることが重要となっています。
4. ERPの主な機能とその役割
ERPは多岐にわたる機能を備えており、以下に主要なものを挙げます。
- 財務管理: 財務の透明性を高め、正確な財務報告と予算管理を支援する。
- 人事管理: 従業員情報の管理、給与計算、人材開発など、人的資源の最適化を図る。
- 製造管理: 生産プロセスの最適化を通じて、品質管理とコスト削減を実現する。
- 在庫管理: 在庫レベルの最適化、コストの削減、及び顧客への迅速な対応を実現する。
- 販売管理: 受注から発送、請求までのプロセスを統合し、顧客満足度を向上させる。
- CRM(顧客関係管理): 顧客情報を一元管理し、マーケティングからアフターサービスまでの顧客との接点を強化する。
これらの機能は各企業のニーズに合わせてカスタマイズされることが多く、業種や業態、企業の規模によって重要とされる機能は異なります。しかし共通して言えるのは、どの企業においても一般的に使用されているシステムを統合的に利用することが出来ます。これらの機能により企業の業務効率化の支援を行っています。
5. 従来の基幹システムとERPの違い
ERPと従来の基幹システムの主な違いは統合性にあります。従来の基幹システムはそれぞれが担当する情報の管理に特化しています。これを各部門が独立して用いており、一つの部門で生成されたデータを別の部門が活用するには手作業での処理やカスタムメイドのインターフェースが必要でした。これに対し、ERPは全ての業務データを統合データベースに格納し、企業全体で一貫した情報を共有することができます。
また、従来のシステムでは各部門や拠点ごとにバラバラの作業フローが存在していたため、企業全体の最適化は困難でした。しかしERPは業務プロセスを標準化し、全社的な効率化を促進することが出来ます。
6. ERP導入の重要性まとめ
ここまででお伝えした通りERPは、現代企業が直面する複雑なビジネス環境において、非常に重要な役割を担っています。企業が持つ全ての資源(=「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」)を統合的に管理し、効率化、コスト削減、迅速な意思決定を実現できます。また各部門の分断されたデータベースとプロセスを統一されたデータベースに集約することで、情報の一貫性と透明性が保たれ、業務の効率化が図られます。
これらにより、企業は市場の変化に迅速に対応し、競争力を維持することが可能となるでしょう。これは従来の基幹システムでは成し遂げることが困難なことであり、ERPは全社的な業務効率化を促進することを可能とするため現代の企業運営において必要不可欠な存在と言えるでしょう。
より詳細にERP導入の方法について気になった方は、下記の記事をご参照ください。