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クラウドサービスの概要と3大クラウドサービス、AWSの代表的な5つのサービスを分かりやすく解説!

近年、クラウドサービスを情報システムの構成要素として利用する企業が多くなっています。

ただ、「クラウドサービス」とひと口に言っても、ひとつのモノやコトだけを指している訳ではありません。「クラウドサービス」は、世界中に張り巡らされたインターネット網に繋がれたコンピュータ等を経由して、情報システムの様々な機能を提供することを意味しています。

サービスという概念はわかりにくいのですが、「機能の提供」と読み換えると理解しやすいと思います。本記事では、クラウドサービスの概要や利用形態、特徴及び3大クラウドサービスやAWSの代表的なサービスを解説します。

1.クラウドサービスとは

日本でインターネットが普及し始めた当初は、電子メールや掲示板の利用が主でしたが、その後、グループウェアやデータ共有、情報共有、データの保存/バックアップにも使われるようになりました。そして今では、インターネットを通じてサーバの機能そのものを提供する形態や、システム開発会社が開発した業務システムの利用サービスをインターネット経由で提供する形態も盛んに行われています。

1.1 クラウドサービスの利用形態と特徴

クラウドサービスの利用形態の主なものにはIaaS、PaaS、SaaSがあります。他にも○aaSと略される用語は多くありますが、ここでは、この3つの用語の意味を解説します。

IaaSは、Infrastructure as a Service (インフラストラクチャ アズ ア サービス)の略で、「イアース」または「アイアース」と呼ばれます。名前の通り、インフラストラクチャを有償サービスとして提供するもので、情報システムのインフラストラクチャであるサーバ(CPU・メモリ・ストレージ等)をインターネット上で提供します。このサービスの契約者は、目的に応じて、サーバ上に必要なコンポーネントを組み合わせて、自分たちで搭載し利用することができます。

仮想サーバ利用が主流のため、サーバ設置やサーバリソースの追加は短時間で済むことが大きな特徴です。

よく見られる利用例としては、「IaaS上のファイルサーバ」が挙げられます。社内にある既存のファイルサーバをIaaSに全て移し替えることで、サーバ運用の負荷を減らすことができますし、容量の追加や削除もフレキシブルに行うことができます。

PaaSは、Platform as a Service (プラットフォーム アズ ア サービス)の略で、「パース」と呼ばれます。これは、上記のサーバにOSやデータベースなどのミドルウェアを搭載した形で提供するサービスです。OSやミドルウェアの種類は契約時に決めることになります。例えば「OSはLinux、データベースはPL SQL」、「OSはWindows、データベースはOracle」というような決め方です。この点で、IaaSよりも自由度が下がることにはなりますが、逆に、設定やメンテナンスの手間が省けるとも言えます。契約者はこのサービスを利用して、業務システム等を開発/設定し、利用することになります。

予め準備されたミドルウェア等を使うためシステム開発や導入が短時間で済むことが大きな特徴です。

よく見られる利用例としては、データ分析、システム開発、既存の自社システムの移行などが考えられます。特に、データ分析については、PaaS上にデータウェアハウスを構築することで、データ容量の増加への対応と処理速度確保が容易に実現できるため、多くの活用例が見られます。

SaaSは、Software as a Service (ソフトウェア アズ ア サービス)の略で、「サース」「サーズ」と呼ばれます。PaaSの上に業務システムやグループウェアなどのソフトウェアを搭載し、それらの機能を有償サービスとして提供するものです。近年、業務システムとして、経費精算システム、CRM、ERP等のSaaSも利用度が高まっています。

利用場所の制限が少なく、インターネットに接続が出来れば自宅や外出先など、社外からの利用も可能なことが大きな特徴です。

利用例はとても多く、その種類も多岐にわたっています。前述の業務システム例だけではなく、オンラインの会議システムやチャットシステム、社外とのファイル共有システムなどもSaaSの例となります。

1.2 クラウドサービスの利用動向

総務省は、毎年行う「通信利用動向調査」をもとに、報告書を開示していますが、クラウドサービスもその調査対象になっています。

報告書の中には「クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合」が示されていますが、年を追うごとに割合は高くなり、令和4年度には72%を越え、今後も増加すると考えられています。また、効果についても、89%の企業が「非常に効果があった または ある程度効果があった」と回答しています。

クラウドサービスの利用が活発になっている理由は「自社でシステムを開発/導入/保有/運用する『オンプレミス形態』に比べてメリットが大きい」ことが挙げられます。

ただ、これだけではなく、「クラウドサービス自体の利用料が必要ではあるものの、システムの開発費、導入費、維持費(保守、バージョンアップ等)、運用費(設置場所、電気等)がかからない」「BCP、DRP等のリスク対策ができる」という点も見逃せません。

なお、IaaSの説明の際に取り上げた「仮想サーバ」とは、実際の物理的なサーバとは違い、1台の大きな物理的なサーバの仮想化技術を使って何台ものサーバの形に分割することを言います。これにより、1台ずつの物理的なサーバの設置を行うことなく、パラメータを設定するだけで新しいサーバが出来上がりますし、メモリやストレージの追加なども簡単に行うことができます。

クラウドサービスはこの仮想サーバや仮想化技術のもとに成り立っているとも言えます。

 

2.3大クラウドサービスと特徴

クラウドサービスのうちのIaaS、PaaSについて、総務省の令和5年度版情報通信白書では「世界的にクラウドサービスの寡占化が進んでおり、日本でもAWS (Amazon Web Service)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)の利用率の高さが際立っている。特に、AWSは、PaaS/IaaS利用企業の半数以上を占めている」と報告されています。

AWS、Azure、GCPの3つを日本においての3大クラウドサービスと呼ぶことがありますが、それぞれ企業として、サービスとして特徴や強みがあります。

AWS (Amazon Web Service)の特徴は、サービス提供を開始してからの期間が長く、シェアが高いことです。このため、AWSを扱う知識が市場に多く蓄えられていることが強みになっています。また、サービス(機能)の数が多いことも強みと見られていることがありますが、「サービスが多く一部のユーザーにとっては選択に迷ってしまうという欠点になる可能性があります。その際は、AWSは豊富なドキュメント、チュートリアル、ユーザーガイドを提供しているため、それらを活用し適切なサービスを選ぶとよいでしょう。

Microsoft Azureの特徴はマイクロソフト製品との親和性が高いことです。これは、企業内のシステム環境でWidowsサーバを利用していたり、プログラム開発のツールとしてマイクロソフト製品を使っていたりする場合に、既存システムとの接続や既存システムからの移行が簡単であることを意味しています。

GCP(Google Cloud Platform)の特徴は検索システムや動画配信プラットフォームの知見を活かした、機械学習機能やデータ解析機能が充実していることです。したがって、その機能を利用するシステムであれば有効活用ができると思われます。ただし、日本でのシェアはAWSとAzureと比較するとそれほど高くないため、徐々に改善されつつありますが日本語での情報が少ないという懸念点があります。

 

3.AWSの代表的な5つのサービスと導入時のポイント

前章で「サービスが多い」「サービスの充実」というような表現を使いましたが、AWSには具体的にはどんなサービスがあるのでしょうか。

最もシェアの高いAWSの中の重要なサービスを見ていきたいと思います。ただ、AWSのサービス数は200以上あります。ここでは、中心となる5つの機能を、簡単に説明いたします。(詳細はAWSの公式サイトをご覧ください)

3.1 代表的な5つのサービス

①EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)

仮想サーバを立ち上げ、CPUタイプ、メモリ容量、ストレージ容量を選ぶことができます。また、OSとしてWindowsやLinux、またはその他のUNIXを選ぶことができるサービスです。これにより、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ用のIaaSが構築でき、PaaSの基礎となります。

②RDS(Amazon Relational Database Service)

リレーショナルデータベースを構築するサービスで、Amazon RDS for SQL Server、Amazon RDS for Oracle、Amazon RDS for Db2に細分化されています。また、これとは別にAmazon Auroraというデータベースサービスがあり、データベースエンジンとして、PostgreSQL、MySQL、MariaDBを選択することができます。

③VPC (Amazon Virtual Private Cloud) :

AWS上でファイアウォールやルーティングなどのネットワーク構成を自由に設定し、セキュリティの高いネットワーク環境を構築することができるサービスです。これにより、他のAWSユーザの不用意な侵入を防ぐことができます。

④AWS Cost Explorer :

AWSは利用するサービスごとの従量制課金方式が料金体系の中心になっています。このサービスはAWS内で利用しているサービスのコストを可視化し、分析するもので、AWSの各サービスにかかる必要を管理するために使用されます。また、このサービスとは別に、Amazonのホームページ上で、料金をシミュレーションするためのAWS Pricing Calculatorという機能が提供されています。利用するサービスがある程度決まれば、この機能を使って料金の概要を把握することも重要なステップになります。

⑤ S3(Amazon Simple Storage Service)

システムのデータ格納場所、バックアップ・復元・アーカイブに利用するストレージを提供するサービスです。このサービスでは保存するデータの容量を無制限で利用できます。また、データの暗号化を行うことも可能です。

3.2 AWS導入時のポイント

AWSの200以上あるサービスの中から、自社が必要とするものはどれかを判断するには、導入するシステムの要件や特性がしっかりと把握されていることが大前提となります。また、具体的にサービスを選択していく過程や実際の設定では、AWSについての相当の知識と経験が必要です。

この課題に対応するため、AmazonはAWSのサポートプランやコミュニティを充実させています。これにより利用者は適切なサービスを選ぶことができるようになっていますので十分に活用しましょう。

4.まとめ

この記事ではクラウドサービスの概要や3大クラウドサービス、代表的なAWSのサービスについて説明いたしました。文中にあるように自社でコンピュータを設置して、業務ソフトウェアを運用するというオンプレミス方式の場合、自分たちの要求通りに情報システム構成を組むことができますが、それは逆に「自分たちでやらなければいけない」ことが非常に多いです。

IaaS、PaaS、SaaSというようにクラウドサービスの形態は様々ですが、クラウドサービスは、システムの開発・導入・運用に関わる負担感を払しょくし、併せてコスト抑制を可能にする手段でもありますので、検討に値するものだと考えます。

クラウドサービス導入にお悩みの方は、是非GPTechまでご相談ください。

 

この記事の編集者

柳元 華奈

柳元 華奈

IT調達ナビの運営会社である、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 ITコンサルティング業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するというメディア運営業務にも携わる。

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