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プロジェクト管理とは?目的・プロセス・PMBOK・活用ツールまで解説

プロジェクト管理(プロジェクトマネジメント)とは、ある成果物を決められた期限、予算、人員、設備などの限られたリソースの中で、求められる品質で完成させるための業務管理手法です。

プロジェクト管理の目的は、限られたリソースの中で最大の成果を達成することです。

プロジェクト管理が適切に機能していないと、以下のような問題が発生するリスクがあります。

  • 成果物の要件が曖昧で、手戻りが発生する
  • スケジュール遅延や納期のずれ込む
  • 予算超過、人員が不足する

このようなリスクを回避するためにも、プロジェクト管理はすべての関係者にとって極めて重要な役割を担っています。

プロジェクト管理の中心人物はプロジェクトマネージャー(PM)です。

PMは以下の要素を考慮しながら、プロジェクトの計画・実行・監視・調整を行います。

  • プロジェクトの目的とスコープ
  • スケジュール(期間)
  • 予算(コスト)
  • 品質
  • リスク管理
  • 人的資源の配分
  • コミュニケーション管理
  • 調達管理
  • ステークホルダー管理

これらすべての要素を総合的に管理することで、プロジェクトの成功確率を大幅に高めることができます。

また、プロジェクト管理における業界標準としてPMBOK(Project Management Body of Knowledge)があります。

PMBOKは、プロジェクト管理に必要な知識・スキル・手法を体系化した国際的なガイドラインで、プロジェクト管理におけるすべてのプロセスが記載されており、これを活用することで、プロジェクトを効果的かつ効率的に管理することができます。

その他、プロジェクト管理に有用なツールには、ガントチャートWBS(作業分解構造)、プロジェクト実行計画書、スコープ定義書、課題管理表などがあります。

これらのツールは、プロジェクト管理のプロセスを簡素化し、タスクの追跡、スケジュールの管理、リソースの割り当て、チームコミュニケーションの改善などに活用することができます。

プロジェクトを成功に導くために、プロジェクトマネージャーは適切なプロジェクト管理ツールを選択することが必要です。 

よくある質問

プロジェクト管理が不十分な場合、発注者にどのようなリスクが生じるのでしょうか?

プロジェクト管理が不十分な場合、発注者は進捗や品質の把握が困難となり、納期遅延やコスト超過、品質不良などの重大なリスクを負う可能性があります。

また、説明責任を果たせなくなる恐れもあり、発注者自身の信頼性や組織の評価に影響を及ぼすことがあります。

主なリスク要因

1. 進捗・コストの統制不能

・管理指標が不十分だと、計画と実績の乖離を早期に把握できず、納期やコストが膨らむ恐れがあります。
・発注者が意思決定を行うタイミングを逸し、結果的にベンダー依存が強まります。

2. 品質低下の顕在化

・成果物の検証やレビュー体制が弱いと、不具合や要件不備が後工程で露呈し、大幅な手戻りが発生します。
・発注者の期待水準に達しないシステムが納品されるリスクがあります。

3. リスク管理の欠落

・課題や障害が顕在化するまで把握できず、事後対応に追われることになります。
・プロジェクト全体が停滞することで、調達目的自体の達成が難しくなる恐れがあります。

4. 説明責任・監査対応の不備

・プロジェクトの管理記録が不足すると、監査や住民説明の場で十分なエビデンスを示せません。
・組織の信頼を損なうだけでなく、契約上のトラブルに発展する場合もあります。

プロジェクト管理が不十分であることは、単なる遅延やコスト超過にとどまらず、発注者の責任や組織の信頼性に直結する重大なリスクにつながります。

発注者が主体的にプロジェクト管理を徹底することは、調達の成功に不可欠です。

発注者が主体的にプロジェクト管理に関与しない場合、どのような問題が起こり得るでしょうか?

発注者が主体的に関与しない場合、ベンダー主導の進行に偏り、調達目的が十分に達成されない可能性が高まります。

進捗・品質・コストの管理が不十分になり、最終的には発注者自身が期待する成果を得られないリスクにつながります。

主な問題点

1. 要件定義の不十分さ

・発注者の意図が十分に反映されないまま要件が固められ、後工程での手戻りや追加コストの発生につながります。
・ベンダーの標準的な提案に流され、本来の業務課題が解決されないシステムになる恐れがあります。

2. 進捗・品質のブラックボックス化

・発注者が定期的にレビューや確認を行わない場合、問題が見えにくくなり、不具合が納品段階で発覚するリスクが高まります。
・ベンダーの報告内容に依存するため、正確性や透明性が担保されにくくなります。

3. リスク顕在化への対応遅れ

・発注者がリスク管理に関与しないと、課題の顕在化に気づくのが遅れ、プロジェクト全体の停滞や追加予算が必要となる可能性があります。

4. 説明責任の欠如

・発注者が関与していないことで、監査や住民説明の場で「なぜこの成果になったのか」を説明できなくなります。
・結果として、組織の信頼や発注者自身の責任が問われるリスクがあります。

発注者が主体的にプロジェクト管理に関与しないことは、ベンダー依存の強まり・調達目的の未達・説明責任の欠如といった深刻な問題を招きます。

成果を最大化するためには、発注者自身が管理プロセスに積極的に参加し、意思決定と統制に関わる姿勢が不可欠です。

プロジェクト管理ツールを導入する際、発注者側で意識すべきことは何でしょうか?

プロジェクト管理ツールは導入するだけでは効果を発揮せず、発注者が適切に目的を設定し、活用ルールを整備することで初めて有効に機能します。

特に「誰が、何のために、どのように使うのか」を明確にすることが重要です。

意識すべき主なポイント

1. 目的の明確化

・単なる進捗可視化に留まらず、「リスク共有」「品質確認」「意思決定の迅速化」といった目的を定義することが必要です。
・ツール導入の目的が曖昧だと、形骸化してしまうリスクがあります。

2. 利用ルールの標準化

・進捗更新の頻度、報告の粒度、入力担当者などを明確にし、全関係者で統一的に運用できる仕組みを整える必要があります。
・ベンダーを含めた共通ルールを定めることで、情報の一元化が実現します。

3. 発注者自身の積極的利用

・発注者が主体的にツールを確認し、進捗・課題・リスクを把握することが求められます。
・「ベンダーが入力するから見るだけ」でなく、「発注者が統制のために使う」意識が不可欠です。

4. 既存業務プロセスとの整合性

・ツールが現場業務とかけ離れていると、利用が定着しません。
・既存の会議体や報告プロセスと統合することで、現場に無理のない運用が可能になります。

5. セキュリティ・権限設定

・発注者・ベンダー・関係部署ごとに適切な閲覧・編集権限を設定することが必要です。
・特に公共調達では情報の取り扱いに注意が求められます。

プロジェクト管理ツールの導入は、「導入すること」ではなく「どう運用するか」が成功のカギとなります。

発注者が主体的に利用し、統制と透明性を高めるための枠組みとして位置付けることが望まれます。

プロジェクト管理において発注者とベンダーの役割分担はどのように設定するのが望ましいでしょうか?

プロジェクト管理においては、発注者とベンダーの責任範囲を明確に分けることが重要です。

発注者は「目的・要件・成果の責任」を持ち、ベンダーは「設計・開発・実装の責任」を担う形で役割を整理することが望まれます。

主な役割分担のポイント

1. 発注者の役割

・目的と要件の提示:プロジェクトの目的や業務要件を明確に定義する。
・統制と意思決定:進捗やリスクを把握し、優先順位や方針を決定する。
・品質・成果の承認:成果物が要件を満たしているかを確認し、受け入れ判断を行う。
・説明責任:調達目的や成果について、内部・外部に説明責任を果たす。

2. ベンダーの役割

・具体的な実装作業:設計、開発、テスト、導入といった実務を担う。
・成果物の提供:発注者が定めた要件を満たす成果物を納品する。
・技術的提案:要件実現のための実装方法や改善案を提示する。
・進捗・リスク報告:定められたルールに従い、透明性のある報告を行う。

3. 共同の役割(発注者とベンダー双方で関与すべき領域)

・課題解決:問題が発生した際に、双方が連携して解決策を検討する。
・コミュニケーション:情報をタイムリーかつ正確に共有する。
・改善活動:プロジェクトを通じて得られた知見を活かし、次の取り組みに反映する。

発注者とベンダーの役割分担は「責任の所在を明確化し、協力する領域を定義する」ことが鍵となります。

発注者は目的や統制を担い、ベンダーは実装や成果物提供を担うという区別を意識しつつ、共同領域で協働することで、プロジェクト全体の成功につながります。

この記事の編集者

大野 誠司

大野 誠司

日本のIT変革の一助となりたいと考え(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 主に民間企業の情シス業務に従事しつつ、IT調達ナビでシステム発注に役立つ記事を展開するというメディア運営業務にも携わる。

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