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CIOとは?IT戦略・ガバナンスを担う現代経営のキーパーソンについて解説

CIOとはChief Information Officerの略で「最高情報責任者」、または「最高情報システム統括責任者」を意味します

CIOは、経営戦略としての情報システム、および情報活用全体に責任を持ちます。

近年、企業の役員などで「CxO」という呼称が多く使われるようになりましたが、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)などと同様に、CIOも定着してきました。

※企業によってCIOの担う役割やミッションが大きく異なるため、本記事の内容は一例としてご参照ください。

CIOの役割はひと言で言うと「IT戦略の策定」「ITガバナンスの実践」ですが、具体的には次のようなものがあります。

なお、DXを強く志向する企業においてはDX戦略を具体化させる役割をCIOに期待しています。

  • IT戦略の策定
    – IT戦略を策定する準備として、社内外の関連情報を収集する
    – 社内の情報システムの現状を把握する
    – 経営戦略を支える「IT戦略」を策定する
    – IT戦略について経営陣の合意形成をリードする
  • ITガバナンスの実践
    – 限られたリソースの中で、重点的に投資する対象を選定する
    – IT投資をモニタリング・評価し、投資計画に対してフィードバックを行う
    – IT戦略を実行するための組織を整える
    – ITに関わるリソース(ヒト・モノ・カネ)方針を策定する
    – ITに関わるリスクを分析し、対応策を策定する

近年、CIOが重視されるようになったのは、企業や組織を経営する上での「情報」の価値が高まってきたためです

かつて、情報システムは業務効率化のツールとして導入され、そこから生成されるデータは、さまざまな集計に使われるようになりました。

その後、「データは経営情報の原資である」という考え方から、情報がヒト、モノ、カネの「経営の3資源」と並ぶ「第4の経営資源」と言われるようになりました。

情報システムは経営戦略を具現化するためのツールとして位置付けられ、ITガバナンスをもとにした経営の視点での戦略的な情報システム活用のためにCIOが重要視されるようになったのです

なお、CIOに類似した役割としてCDO(Chief Data Officer:最高データ責任者、または、Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)、CTO(Chief Technology/Technical Officer:最高技術責任者)、CISO(Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者)がありますが、業種や会社の規模によってはCIOの役割と兼務する場合もあります。

また、情報システム部門の責任者がCIOであるケースや、CIOが情報システム部門から独立した位置付けのケースもありますが、その違いは、その企業のガバナンス体制に依存すると言えます。

参考記事: CIOシェアリング協議会が考える中堅企業におけるCIO像とは?

よくある質問

中小企業におけるCIOの役割と実践上の課題は何ですか?

中小企業におけるCIOの役割は、限られた経営資源を最大限に活用し、IT戦略の策定と推進を通じて事業成長を支援することにあります。一方、実践上は人材不足や予算制約、経営層のIT理解不足など多様な課題が存在します。

中小企業におけるCIOの主な役割

1. 経営戦略とIT戦略の融合
企業の経営目標に即したIT活用計画を策定し、業務効率化や新規事業創出を推進します。

2. ITガバナンスの確立
適切なリスク管理やコンプライアンス遵守の体制構築を行い、情報資産の保護を担います。

3. IT投資の最適化
限られた予算内で効果的なIT投資を判断し、ROI(投資対効果)の最大化を図ります。

4. 組織内のITリテラシー向上
経営層および従業員のIT理解を促進し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の土壌を醸成します。

実践上の主な課題

1. 人材不足と兼務の問題
専任のCIOが不在で、情報システム担当者が兼務しているケースが多く、戦略的な活動に割ける時間が不足します。

2. 予算とリソースの制約
IT投資予算が限られるため、優先順位付けや効率的な運用が求められます。

3. 経営層のIT理解不足
ITの価値やリスクを十分に理解していない経営層とのコミュニケーションに課題が生じやすいです。

4. 変化対応力の不足
急速な技術変化に追随しきれず、DX推進や新技術導入の遅れが懸念されます。

中小企業におけるCIOは、これらの課題を認識しつつ、限られた環境の中で戦略的なIT活用を推進し、持続的な成長に寄与することが期待されます。

効果的なCIOの選任や育成に必要な条件は何ですか?

効果的なCIOの選任や育成には、経営視点とIT知識の両方を兼ね備え、戦略的思考とコミュニケーション能力を有する人材の確保と継続的な能力開発が不可欠です。

選任・育成に必要な主な条件

1. 経営戦略理解とIT専門知識の両立
企業の経営目標を理解しつつ、最新のIT技術やトレンドにも精通していることが求められます。

2. リーダーシップと組織横断的な調整力
組織内の多様な部門と連携し、IT戦略の推進に向けて合意形成を図る能力が重要です。

3. コミュニケーション能力
経営層や現場スタッフとの効果的な意思疎通ができることが、戦略実行の鍵となります。

4. 継続的なスキルアップ支援
技術変化が激しいIT分野に対応するため、定期的な研修や外部セミナー参加などの学習機会を提供し、能力向上を図ります。

5. 明確な役割定義と評価制度の整備
CIOの責任範囲を明確にし、業績評価や報酬制度を適切に設計することで、モチベーション向上と役割遂行を支援します。

これらの条件を満たすことで、企業は効果的にCIOを選任・育成し、IT戦略の成功に貢献できる組織体制を構築できます。

CIOが推進すべきDX(デジタルトランスフォーメーション)の具体的な施策は?

CIOはDX推進において、経営戦略との連携強化、業務プロセスのデジタル化、人材育成、データ活用基盤の整備など、多角的かつ戦略的な施策を推進することが求められます。

具体的な施策

1. 経営戦略との一体化
DXの目的と方向性を経営層と共有し、IT戦略を企業全体の成長戦略に組み込むことが重要です。

2. 業務プロセスの見直しと自動化
既存業務を分析し、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIを活用した効率化・自動化を推進します。

3. データドリブン経営の実現
データ収集・分析基盤を整備し、経営判断や顧客体験の向上に活用できる体制を構築します。

4. 人材育成と組織文化の変革
DXに対応可能な人材の育成や、変革に柔軟に対応する組織文化の醸成を推進します。

5. オープンイノベーションの促進
外部企業やスタートアップとの連携を強化し、新技術や新ビジネスモデルの導入を加速させます。

6. セキュリティ対策の強化
デジタル化に伴う情報セキュリティリスクに対応するため、包括的なセキュリティ戦略を策定・実施します。

CIOはこれらの施策を統合的に推進することで、企業の競争力強化と持続的成長を支えるDXの実現に貢献します。

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この記事の編集者

柳元 華奈

柳元 華奈

北京大学日中通訳専門修士卒。日本経済の活性化を目指し、日本のIT変革やアジアとの架け橋となるべく、(株)グローバル・パートナーズ・テクノロジーに新卒入社。 主に民間企業のシステム刷新プロジェクトに従事し、同社のPR・マーケティング全般の業務やIT調達ナビの運営業務にも携わる。

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